寺報の奉名録

住職のおはなし

一妙寺がご依頼いただくご葬儀のほとんどは私共をよく知る業者さんからのご紹介によるものです。それは「一妙寺の葬儀」をみられて他にはない良さを見出していただけたからだと思います、私どものお寺を紹介という形でご紹介くださり、業者さんより信頼をいただくことは私共にとって大きな財産です。

ところが先日、ご葬儀をお勤めさせていただきましたご葬家さまよりクレームをいただいてしまいました。内容は「一妙寺にはお経料を支払っただけで、お布施はしていない。なので新聞に名前を掲載しないでほしい」というものでした。

思いがけないお叱りの言葉をいただき、私は茫然としてしまいました。しかしながらお名前を掲載させていただいたのは事実です。私は丁寧にお詫びを申し上げ、事なきを得ましたが同時に一妙寺の新聞も転換期を迎えたのかなと思いました。

私が違和感を感じましたのは「お経料」という言葉です。しかし、業者さんからのご紹介はほとんどお葬式のときのお布施金額が決まっておりますので、お布施といえないかもしれません。しかし本質を見直しますと金額が決まっていてもそこは「お布施」という言葉を使ってほしいなと感じます。

それは一妙寺へお納めいただきましたお布施は、住職個人の収入ではなく、宗教法人会計に計上されることが事由のひとつです。(住職、職員は毎月25日に給与として月給を頂戴しています。)

そして宗教的にもお布施は一妙寺のご本尊さまに供えられるべきものというのが、事由のひとつです。生まれたときは10カ月かけてやってきたのに、帰るときは何故49日で帰れるのか。それは一妙寺のご本尊さま(仏さまや菩薩さま、その他の神さま)がお旅立ちのお手伝いをしてくださることに由来します。

■お葬式をする

■49日で帰ることができる(10ヵ月かからない)

■ご本尊さまのお手伝いがあったから

■ご本尊さまへお布施をさせていただく

という図式が成り立ちます。お寺からの新聞はご本尊様へお布施をお納めいただいたお礼を神仏に代わって発信されたものです。その為に開山時(創業時のこと)より葬儀や法事のお布施であっても、お墓参りのお布施であってもお名前を新聞に掲載しておりました。

ところが開山から12年を迎えこの発信の仕方も物言いがつく時代となりました。お寺をつくった頃より毎月発行してきた新聞をここで終わらせたくない気持ちと、時代のニーズに応えなければならない立場で思考を重ね、今月号より育寺日誌の特志奉納欄はご葬儀、ご法事といった仏事でお納めいただいたお布施は掲載を控えさせていただくことに致しました。

お墓参りやお寺の行事でお納めいただいたお布施や護持会のご協力をいただきました方のみの掲載とさせていただきたく思います。

いろんな考え方や意見があると思いますが、何卒お汲み取りいただき、今後とも「小さなお寺 一妙寺」をどうぞよろしくお願いいたします。

ピックアップ記事