一妙寺の10周年ご挨拶

住職のおはなし

 

一妙寺は2010年10月に、サラリーマン家庭に生まれ自分のお寺を持っていなかった私が一念発起し、賃貸物件による布教所を設け「小さなお寺」と称し活動をさせていただいたことから始まります。

檀家ゼロ、仏具ゼロ、知名度ゼロ、あるのは私の健康な身体と志だけというスタートでしたので設立当初は段ボールで創作した手製の祭壇による活動を行っておりました。ここが既存の寺院様とは違う一妙寺の一つの特徴といえます。

設立当初は本当に何もなく、それゆえ小さなことに大きな感動を得ていたことを昨日のことのように覚えております。例えばお経の会で参加者の方が私のことを「住職」と呼んでくださること、女性の方が「あなたも大変ね」と妻に寄り添ってくださったこと、少しずつお金を貯めカラー版の育寺日誌を皆さまへお届けできるようになったこと・・・身延山へのバス旅行が笑いの絶えない楽しい参拝になったことなどです。

今、振り返ってみても明るい思い出ばかりが蘇ります。そして、みなさまからの大きな支えがなければ今日の一妙寺はありません。

いくら辛い修行を達成したお坊さんといえども、何もない毎日が続けば空虚感に襲われ元気がなくなります。私が僧侶としての存在意義を感じられる場面は手間暇と真心をこめた仏事をお勤めさせていただくことだけでした。私はお坊さんの修行で「僧侶は檀信徒のみなさまをお救いしなければならない」と学びましたが、一妙寺の場合はみなさまが住職を救ってくださいました。

そして多くのご縁や繋がり、気運に恵まれ、まぐれが10回程続き土地の取得、本堂の落慶、墓地の建立、宗教法人の認可と歩みを進めることができました。10年という節目を迎えた今日、一妙寺の活動が新しい寺院モデルとして注目をいただけることは悦びであり、自分の信じた道が間違いではなかったと安堵しております。

現在、新型コロナウィルスの影響により不安な毎日を送っておりますが、私はこれからも「家族仲良く!」を合言葉にしていきたいと考えております。それは「家族が幸せでなければお寺に来てくださる方が幸せになれない」という妻が最初に私に対して申した言葉です。

これからも1年1年を大切に積み上げながら次の5年、10年につなげていけるよう努力精進して参ります。今後とも「小さなお寺 一妙寺」を何卒よろしくお願いいたします。

令和2年10月吉祥日
日蓮宗 實相山 一妙寺 開山・初代住職 赤澤貞槙 拝

 

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