お墓のお話

住職のおはなし

 私は僧侶となり、家族背景や経済的な事情によって、没後お墓に入ることがかなわない方が一定数いらっしゃることを知りました。

理由があってのことでしょうが、人として最後に帰る場所がない、落ち着く場所がないというのはとてもおつらいことであると思います。しかし寺院住職や協賛者が出資をしてみんなで合同墓を作り、ご供養の場があれば、必ずやその故人さまはご成仏していただけると確信いたします。そしてそれが叶うのが宗教法人が管理する永代供養墓地となります。

 一妙寺も多くの方のご協力をいただき八王子上川霊園の一画に宗教法人墓地を有することができました。コロナ過以降は相談をオンラインで希望される方もおられ、その場合はご遺骨をゆうパックにて郵送していただき、申込者様と対面することなく手続きが終了となります。

 その後、納骨式へご出席いただいたり、1周忌法要や新盆といったご供養のご依頼を賜れば住職としてご挨拶をさせていただくことが叶うのですが、申込以後、仏事の音沙汰がなければお会いすることがありません。ですが、お墓参りはされていることを信じ、その方が「ここのお墓はいつお参りしてもきれいだな」と思っていただけますよう墓地の清掃、管理に勤めております。亡くなった方だけでなく、見送ったご遺族さまもご安心いただけますように願わずにはおりません。

しかしながら世は無常です、春になれば花粉が石にこびり付き、夏になれば炎暑で花立のお水が濁ります。秋になれば霊園内の樹木が葉を落とし、雪が降れば雪かきをしなければなりません。お墓といえども手入れをせずに放っておけば汚れてしまいます。

 そして「住職」という立場に身を置いておりますと、お墓の清潔感にこだわらずにおられません。一妙寺墓所のある八王子上川霊園は約3万基の墓地を有しておりますが、私は少し離れたところから腕を組み、一妙寺墓所を眺め「うーん、うちのお墓が一番きれいだ!」と本気で思っております。車好きな方が大型ショッピングセンターの駐車場に並んだ車をみて、「俺の車のボディが一番艶があり、光ってるぜ!」とニンマリするあれと同じです。

 お墓の場合は車と異なり、清掃だけでなく供養もしなくてはなりません。ですがそこはお寺なので得意分野です。最近では自分の家族が眠っているわけではないのに一緒にお経を読んでくださるご信徒さまも多く、この部分でも「一妙寺のお墓が一番お経があがっている!人の気持ちが集まっている、多くの方が安心されている!」と住職として頼もしく、誇らしく思っております。

多くの方にご協力をいただき、その果実が困っている方への助けとなっている。そこに関わらせていただけますことにとてもやりがいを感じます。

一妙寺住職 赤澤貞槙 拝

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