新春のご挨拶(2020) 2020.01.01 住職のおはなし 新しい年を迎え、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。昨年も一妙寺をお支えいただきありがとうございました。令和二年は一妙寺設立十周年を迎えます。サラリーマンの家庭で生まれ、自分のお寺を持っていなかった私が国立の地に赴き、布教活動を展開したことが一妙寺の始まりです。 設立当初は檀家ゼロ、仏具ゼロ、あるのは健康な体と志だけというスタートでございました。何を始めるのも開業資金が必要です。そこで本部である「日蓮宗」に相談しましたら、支援制度があることを知り、財政支援を受けるべく一寺建立のプレゼンテーションを行いました。結果はなんと採用!開業資金として約1000万円のサポート受けることができたのです。しかもこちらの資金は返済不要、ここから「ゼロからお寺をつくる」という私の一風変わったお坊さん人生が始まったのです。 妻と生まれたばかりの娘を連れ、長く住んでいた都心を離れ、国立市に転居。借りた家の間取りが2LDK、駅から徒歩15分という立地で静かな住宅街でございました。家の中で一番広い部屋が8畳のリビングでしたので、そこに段ボールで祭壇を作り「小さなお寺」の完成です。普段は家族と過ごす空間が、お客様がお見えになるとお寺に変身するというユニークなスタイルでした。 近隣の方から気持ち悪がられるのではないの?お経の音がうるさいといわれたらどうするの?お金が底をついたらどうやって家族を養うの?周りの方にはいろいろと心配をおかけしましたが、私の中では不安はありませんでした。なぜなら「成功することに決めていた」から。自分の頭の中にお寺をつくるプログラムと設計図のようなものができあがっていて、あとは「やるだけ」だったのです。 本堂や墓地がないので「お寺」と名乗らせていただくことができず(寺院規定に接触するため)日蓮宗国立布教所(にちれんしゅう くにたち ふきょうしょ)というのが一妙寺の前身です。先述のように気持ちは悦びにあふれていますから、寺号を名乗れないことなど気に致しません、そんなことよりも自分の話を皆様に聞いてもらえる空間が心地よく、うれしかったです。お経を一緒に読ませていただけ、お説法までさせていただける、何よりも僧侶としての居場所を感じられたことがとてもありがたかったです。 その後はまぐれが10回程続き今日の一妙寺がありますが、この時の気持ちが原点であり、僧侶としての心構えの全てだと思っております。今年も色褪せることがないよう、みなさまと作らせて頂いたお寺を護っていきたいと思います。 本年が皆様にとりまして幸せな一年でありますよう、心よりお祈り申し上げます。 住職のおはなし 第116回お経と法話の会 荒行堂参拝 一妙寺、帝釈天を奉安へ ピックアップ記事 住職のおはなし 住職の叫び 2021.02.01住職のおはなし