国内開教1年を振り返って

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 ミトラサンガ北関東ブロックは平成24年3月7日午後2時から「第1回総会および研修会」を埼玉仏教会館で開催した。 総会終了後、午後4時よりミトラサンガ北関東ブロック主催の研修会が開催され、ブロック幹事の講師紹介の後、講演が行われた。  

赤澤師(31)は身延山高校、立正大学で学び、信行道場を出て幼時からの僧侶になる夢を果たした。善性寺(東京・日暮里)、法真寺(東京・赤羽)、立源寺(東京・目黒)で山務員として修行した後、平成22年日蓮宗宗務院が公募した第1回国内開教師として選ばれ、現在、東京都国立市を拠点として布教活動を展開している。  

 宗務院は、日蓮宗寺院が少ない三多摩地区を開教地として指定。赤澤師は同地区内で将来布教に有望な地の選定に際し、最近の人口動態など各種資料にあたり、最終的に国立市を開教地として選んだが、戦略的なこの手法が宗務院を動かし、赤澤師が選ばれた。布教拠点は2階建て借家で、1階を本堂、客間、2階を事務所、寝室としている。一般的に家主は賃貸物件が宗教活動に使用されることを好まないので、物件探しには苦労した由。設立当初は、段ボールに風呂敷を掛けただけの御宝前であったが、信徒さんや他寺院の支援で、次第に寺院としての体制が整いつつあり、深く感謝しているという。平成22年10月に布教活動を開始。  

 国立布教所は任意団体で税法上「人格なき社団」。活動の収入は営利目的でない「布施収入」のみ。それにより宗教法人と同等の税務処理が可能となった。活気あるお寺にするためには信徒間の親睦を育て、お寺を育てる(育寺)が肝要。その為に年中行事(新年祝祷会、寒中修行、節分会法要、春・秋彼岸会、施餓鬼法要、宗祖御会式法要)のほか信行会などを開催し、参加する人を中心にコミュニティをつくることを心がけている。仏性の花を開かせる心を大切に、いつもお題目があがっているお寺、しかも人の温もりがあふれ、誰もが気楽に足を運べるお寺にしたいという。  

 宗教活動を行い、自己名義の土地、建物がなければ宗教法人格を申請する条件が整わないので、基本財産の取得を当面の目標としている。  社会的な信頼を得、なおかつ固定資産税、都市計画税の優遇を享受するためには宗教法人格の取得は欠かせない。法人取得を中期的目標としている。  

 講演の後。辻本代表幹事から発言があった。 「仏教他紙は、すでに複数回赤澤師の活動を報じているのに、日蓮宗新聞は1度も報じていない。開教師支援の為にも逐一活動が報じられることが望まれる。また、赤澤師を開教師に指名しておきながら、宗門が布教拠点となる土地建物を供与しないのは何故か。1日も早く、法人格を取得させるために予算を計上すべきである。有志の方から、仏具などのご支援をお願いしたい。」

【記事紹介】現代仏教 2012年7月号掲載

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