寺マイルのお話

住職のおはなし

 「成長した人が役割をもらえるのではなく、役割が人を成長させる」みなさまも日ごろの生活の中でこういったことを感じることがおありではないでしょうか。

 ここに一つの悪名高いお話しがあります。アメリカのスタンフォード大学で行われた心理実験です。新聞広告などで集めた大学生二十一人を、看守役十一人と囚人役十人に適当に分けて、実験用に作った架空の刑務所を舞台に、二週間どのような行動をとるか観察することが目的でした。

 最初はお互い決められた台本に沿ってぎこちなくやっていましたが、日を追うごとに看守役はより看守らしく、囚人役はより囚人らしくなっていきました。特に看守役は、実験者が指示を出さなくても、自ら勝手に囚人役に罰則を与え始めたとのことです。

日に日にその行いはエスカレートしていき、ついに禁止していた暴力行為をも行うに至ったのです。その結果、当初予定していた二週間を待たずに、この実験は六日間で強制終了しました。この時、看守役の何人かは「話が違う!最後まで看守役をやらせてくれ!」と懇願したとのことです。

 ちなみに元々権力志向が強い人を看守役に選んだわけではありません、あくまでも最初の配役はランダムでした。ということは、今回たまたま囚人役になった人も看守役に選ばれていたら、程度の差こそあれ高圧的、暴力的になっていた可能性は高いと考えられます。

 今日お話ししたいのは「この法則を活用して皆様も是非、ウォーキングを始めませんか」というご提案です。ただの散歩ではなく、お寺を巡るウォーキングです。ミッションを与えられると運動も楽しくなりますから、頑張って挑戦してみましょう。お寺を巡ってマイルを貯める、楽しい寺参る(寺マイル)のご案内です。

 私は日々ランニングをしているのですが、このマイル貯めに没頭して、遂には旅先、出張先でもランニングをするようになりました。辛いはずのランニングも任務を全うさせるために頑張ってしまうのです。

 日蓮宗のお寺は新宿や四ツ谷、神楽坂、池上、谷中、浅草などひとつのエリアに密集している特徴があります。専用のスマートフォンアプリもありますので、ちょっとした気分転換にウォーキングを始めましょう。運動はよいことばかりです、身体が健康になるだけでなく脳内に幸せホルモンが分泌されます。そして参るポイントを集めて記念品までいただくことができます。

「夏休みに家族で旅行中、日蓮宗のお寺が近くにあるからチェックインしたくなっちゃった!」このアプリがみなさまの生活の一助となりますことを願っております。

一妙寺住職 赤澤貞槙 拝

 

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