正論は刃のお話

住職のおはなし

みなさまは普段、パートナーや恋人にどのような愛情を表現されますか。男性でしたら奥さまや彼女さまのお話を「だよね、わかる、同じこと思った!」などと共感することでしょうか。
かたや女性はどうでしょう。ご主人さまや彼氏さまを「すごい、さすが、おもしろい!」と褒めることでしょうか。

 こういったことは千差万別で愛情表現にお手本や教科書などはありません。お雑煮の味付けのようになんでもよいのです。そして「形がないのが良い」ということは反対の言い方をすれば、「正論は人の気持ちを傷つける」ということです。

 「正しいこととは理解してるけど、そんなにズバズバいわれると傷つく」という経験がみなさまにもおありなのではないでしょうか。私たちは健全で豊かな社会生活を送るために規則やルールを設けますが、正論でうまくいくのはそういった統一したほうがいいもの、すなわち線引きや仕分けといったものだけです。そこに人の気持ちが介入すると正論は時として人の心を傷つける刃物となることがあります。

 お寺のご本尊さまに僧侶が読経を捧げることが第一のお勤めですが、お寺に人が集まれば人の気持ちが介入します。お経だけでなくご本尊さまに笑っていただく、お寺に集まった人も笑っていただく、ご本尊さまや皆さまへの愛情として一妙寺では本年も講談師の一龍斎貞鏡さんをお迎えしたいと思います。

 貞鏡さんが楽しい時間を届けてくださいますのでみなさま笑顔でお迎えしましょう。

一妙寺住職 拝

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