うさぎと帝釈天のお話

住職のおはなし

今年はうさぎの歳です。仏教説話の中に、うさぎが月に住むことになったお話がありますのでご紹介いたします。

 ある林にキツネ・サル・うさぎが一緒に暮らしていました。三匹は修行し、お互いを敬い合っていました。そんな三匹の様子を見ていた帝釈天という神様が本当に仏の心を持っているのか試そうとお考えになり、老夫に変身し三匹にこう言いました。

「何か食べ物を持ってきて下さい」

 三匹は食物を探しに行きます。キツネは魚を、サルは果物を持ってやって来ましたが、うさぎは山の中を懸命に探しても老人が食べるものを見つけることができません。

 うさぎは「このままでは食べ
物が見つからないばかりか、自分が獣に捕まり食べられてしまう」と考えます。

 そしてある日、「食事を探してくるので火をおこしてほしい」といいました。サルとキツネが火をおこすと、うさぎは自分自身を食べてもらおうと火の中へ飛び込み、死んでしまいました。すると帝釈天は元の姿に戻り、うさぎの慈悲深い行動をすべての生き物に見せるため、その姿を月の中に映したという訳です。

うさぎが月で餅つきをしている理由はなぜでしょうか

 うさぎの餅つきの由来は、「杵と臼で子宝成就の餅を作っている」と考えます。人類の悦びである「子宝成就」の請負人はうさぎであり、場所はなんとお月様なんですね。月の満ちては欠け、欠けては満ちる様子が、

 

輪廻をあらわし、『竹取物語』でも、月へ帰るかぐや姫が、老爺老婆に不老不死の薬を残していきます。

 輪廻(子宝成就)と不老不死は真逆ですが、その本体を尋ねれば表裏一体なのです。つまり地上では不老不死の薬が、月では輪廻の餅となります。月の世界は人間世界の反転ですから。

 ちなみに餅の原料となるお米はねずみから頂戴します。ねずみの主は大黒天という神さまです。ねずみが主より米を月まで届ける命をうけます。帝釈天も大黒天もどちらも日蓮宗のお寺にお祀りされる神さまです。

 今年も楽しいお話を皆さまにお聞かせできるよう頑張っていきたいと思います。    
       
一妙寺住職 拝

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