七面山のお話 2021.11.01 住職のおはなし 緊急事態宣言が解除されたこともあり、先日七面山へ登りました。 登山時間は約4時間かかるお山ですが、登山後にいただくお湯は格別です。山の上ですから。入浴後にいただくお味噌汁は格別です。登山で疲れていますから。そしてお勤めでいただくお読経も格別です。七面さまのご利益をいただけるわけですから。 私たちは普段何気なく生活をしていてもなかなか「格別」を感じることがありません。「格別」というのはどうやら苦労を乗り越えた後に感じる感覚のようです。 例えば「お日さま」もそうですよね。普段なかなか有難みを感じることはありませんが、お日さまがない日常を想像するとぞっとしてしまいます。「私は夜のほうが好き」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、お日さまからいただく恩恵は明るさだけではありません。太陽が地球を照らし、温めてくれるから私たちは生活しやすくなっているのです。 午前中雨が降ったので洗濯物を室内に干しました、でも午後からはお日さまが見えました。すると私たちは室内に干した洗濯物を全部外に干し直します。 「だって少しでもお日さまに当てたいから」 なんとなく「お日さま」という言葉に優しさを感じませんか。湿ったものを温かいふわふわしたものに変えてくれる御利益を感じます。 七面山に登りご修行させていただくことも同じです。日頃の生活で湿ってしまった自分の内面を温かいふわふわしたものにすることができます。 七面山参拝後、一緒に下山した僧侶から私はこんな素敵な言葉を賜りました。 「七面山はお山全体が母親のお腹と一緒なんです。山頂にある敬慎院が胎盤であり、下界へと続く山道が産道です。七面山の下山が終わって門をくぐったときは赤ちゃんが出産するように、新しい浄化された自分となって、また日常の生活を頑張ることができます。」 私はこんな素敵な言葉をかけてくれる僧侶がいることをとてもうれしく思いました。 余談ですが、私にこの言葉をかけてくれた僧侶というのが、以前一妙寺のお経の会で信徒として一緒に学んだ佐藤勇光さんです。日蓮宗の僧侶になりたいと発願され、職を辞し、身延山大学へ入学され僧侶となられました。今は七面山でご修行されているのですが、来春から一妙寺に帰ってきてくれます。嬉しいですね。 身延山と七面山の辛い修行を乗り越えた佐藤上人がこれから一妙寺で活躍してくれます。私も負けないよう、一緒に頑張っていきたいと思います。 一妙寺住職 拝 住職のおはなし 第132回お経と法話の会 永代供養墓納骨式 毎日新聞「憂楽帳」在家出身住職 ピックアップ記事 住職のおはなし 住職の叫び 2021.02.01住職のおはなし