鬼子母神様のお色直し

住職のおはなし

  この度、一妙寺の鬼子母神さまが戻って参りました。と申しますのも彩色を施しにお出かけになられていたからです。

 鬼子母神さまは法華経・お題目の修行をする者を守護する神様です。お顔立ちは「赤ちゃんを抱かれている優しいお姿」「鬼の面相」と主に二種類あるのですが、一妙寺の鬼子母神さまは後者の御尊像です。平成18年に私が日蓮宗の100日荒行に挑戦した折、当時ご指導をいただいていた大阪の御僧侶からこの御尊像を授かりました。「この鬼子母神像をあんたに託すから、100日間頑張ってや!」と。

 私は賜った白木の御尊像を荒行堂に持参し、100日間毎日お経を読み込みました。そうすると荒行僧が必死に読むお経のエネルギーが鬼子母神像に段々とチャージされていくのです。お経の御功徳がたくさんつまった御尊像を自分のお寺に持ち帰ることによって、お寺を護っていただくという図式が完成するわけです。その為、荒行に挑戦したお坊さんが住職を勤めるお寺には必ず鬼子母神さまが祀られています。

 これは私の宗教観ですが、荒行堂での充電がおわった御尊像はその印として彩色を施すのがいいと思っておりました。ちょうど49日を終えたら成仏の印として白木のお位牌を塗のお位牌にかえるように。そして前号でお伝えした帝釈天の制作をお願いした仏師松本定祥さまにこのことをご相談申し上げましたら、快く彩色を施してくださったのです。

 着目点としましてはお衣に金線で優美な模様が施されましたが、この果実は鬼子母神様の好物とされているザクロをあらわします。台座のデザインは日蓮宗大荒行堂にお祀りされている鬼子母神像と同じ意匠にしてくださいました。更に対になる帝釈天とバランスがとれますように肌色を同じ色(黒緑青色くろろくしょういろ)にし、力強い目を入れることによってまさに「開眼」されたわけです。

 細かいところにも見事な技術で彩色がされております、どうぞ一妙寺にお運びいただきお色直しされた鬼子母神さまに手を合わされてください。