祝!育寺日誌の第100号

住職のおはなし

  育寺日誌は平成22年10月に最初の1号を発行しました。ゼロから始まった一妙寺に最初にやってきた赤ちゃんです。妻が娘を出産し、男性の私はお寺の新聞を出産しました。育寺というネーミングはそんな理由があったのです。あともう一つ、信徒のみなさんとお寺を育てるという活動指針をあらわします。

 身の置き所がない話になりますが、一妙寺は設立当初は本当に何もありませんでした。新しくお寺をつくることはもとより、活動を維持することもお金がかかります。既存のお寺であれば檀家さんや地域的な繋がりによって寺院経済は安定しますが、ゼロからつくる新しいお寺にそのシステムは望めません。ドライな表現になりますがどこかで資金を稼がなければならないのです。

 私が見出した活路は葬祭業社様より僧侶を求めているお客様をご紹介いただくことでした。そして御葬家様、施主様と御紹介いただいたお客様と繋がっていたい、このご縁を大切にしたいという気持ちで生まれたのが育寺日誌です。「お寺とみなさまとつなぐメッセンジャー」といえば格好いいのですが、宣伝広告の感は否めません。

 営業目的といわれたらそれまでですが、お寺を維持する為には仕方のないことでした。しかし子供を育てる(育寺)とはそういうことです。妻は身を削って娘を育てております。私も努力なし辛抱なしでは申し訳が立ちません。そして、陰があれば陽もあります。「毎月届くお寺からの便りを楽しみにしているのよ」と気持ちを楽にしてくださるお言葉がいつしか一妙寺には届くようになりました。

 ご主人様を亡くし家に一人残された奥様が、私がお経に伺う度に「寂しい」とご自分の胸中をお話してくださいます。僧侶としてどうすればいいのか悩んでおりました。すると奥様のほうから「この育寺日誌が寂しい気持ちを払拭させてくれる」といってくださいました。こんな私でも力になれたのかな嬉しく思いました。

 応援してくださる方が一人でもいる限り、育寺日誌の発行を続けていこうと思います。

 お寺から一方的に届く育寺日誌です。もしご迷惑でしたらお申し出いただけば発送を控えさせていただきます。切手代が大変だからご遠慮します・・・という方、そんなことはおっしゃらないでください。お読みいただけるほうが嬉しいのですから。

 「継続は力なり」と申します。箸にも棒にもかからない私ですが、先日100回を迎えた「お経の会」とこの「育寺日誌」だけは続けてゆきたいと思っておりますので、これからもどうぞ懲りずに御笑覧ください。

今後とも「小さなお寺 一妙寺」をよろしくお願いいたします。

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