ナスときゅうりの話

住職のおはなし

    お盆とは「お皿を分ける」と書くように、自分のものは家族やお友達に分けてあげなさい、これがお盆の教えです。幼き頃教わったことですが、大人になると合理や損得、生産性を考えてしまうので、「お皿を分ける教えを年に一度思い出しましょう」というわけです。

 更にもう一歩精進いたしますと「お皿を分けて頂いている」という理解になります。私たちがこちらの世界で幸せな社会生活を送るために必要な力を、向こうの世界からご先祖さまが持ってきてくれる。お皿を分けていただいているという信仰です。 こちらの世界の最上級のお祝いは子供が誕生することですが、確かに私たちができるのは肉体の提供までで、その肉体に魂が宿るかどうかは向こうの世界の力の働きによるものです。年に一度、ご先祖様からのそのお力を分けていただくのです。  

 お寺の住職が「子宝成就」のご祈祷をお勤めする際、その時はやはり先祖供養からいたします。ご先祖様の御供養をしてから、仏教に登場する神さまに願いを託すわけです。  お盆にはナスとキュウリを供え、それぞれ牛と馬をあらわすと習いましたが、どちらも種の多い夏野菜、つまり先祖供養には子孫繁栄の願いが託されており、「先祖の御供養をして子宝という幸せをいただける」という、そんな教えがナスとキュウリには込めらているのですよ。 ナスは牛、キュウリは馬という解釈だけではなく、是非このこともお子様方にお伝えいただければ嬉しく思います。

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