お盆の思い出

住職のおはなし

    今から10年前、私は富山県のお寺にお盆のお手伝いにいっておりました。1日に20件ほどご住職様の代わりとして檀家さんのお宅に伺い、お盆供養のお経をお勤めさせていただきます。

 8月13、14,15日と毎年同じスケジュールで各家を訪問します。そのご家族の方々とはお経後に少しの雑談しか言葉をかわさないのですが、お互い年に一度の再会を楽しみにしております。「お盆になるとこのお坊さんがうちに来る」というふうに私を覚えてくださっていることが嬉しいのです。失礼させていただくとき私は「ではまた来年」と挨拶をしておりました。

 そして1年経って、同じ日の同じ時間にその家に行くと、皆様去年と同じお顔ぶれで私をお迎えくださりとても安心いたします。お子様の成長を伺うこともでき、また来年もこちらのお宅に来たいなという気持ちになります。
今は自分のお寺のお勤めに専念しておりますが、お盆になると「あの方はお元気かな」と思い出します。年に一度、ご先祖様をお迎えするお盆の心とはきっとこういう心いうのでしょう。

 毎年自分を待っていてくれる喜びを私はお盆のお勤めを通じて学ぶことができました。どうでしょう、皆様も「待ってるね!」といわれるとなんとなく嬉しくないでしょうか?お盆の教えとはこの「待ってるね!」かもしれませんね。
今年もお盆飾りを施し、お供物をそなえ、お墓参りに出かけたいと思います。

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