一妙寺の多宝如来さま

住職のおはなし

  皆様は多宝如来(たほうにょらい)という仏さまを御存知でしょうか?私たちにはあまりなじみのない仏様なのですが日蓮宗ではお釈迦様と肩を並べる最上級の仏様なのです。 なぜでしょうか、それは「認めること」を説く仏さまであるからです。今月は一妙寺の立派な多宝如来さまをご紹介させていただきます。

 お寺をゼロから創るということは、住職の頭の中にお寺の全体像がイメージされていないといけません。どういうお寺を創るのか。私、赤澤の場合は「育寺日誌」「お経と法話の会」「わかるお葬式、みえるお葬式」「無印良品のような本堂」「季節のお花を挿し色に」「イス席と床暖房」というピースを考えました。これらをパズルのようにカチッとはめ込み一妙寺というお寺を創りました。

 著作物を守ることを著作権といいますが、私の考えたアイデアや方法を法律が保護してくれるわけではありません。その為に、他のお坊さんから一妙寺の仕様を盗用されることがあります。 自分が苦労に苦労を重ね、生み出した創作物なので盗まれると発案者は怒ります。一妙寺HPの掲載内容を寺院名だけを替えて転載される方、育寺日誌というタイトルやお花の飾り方を真似する方、本堂の設計やコンセプトを失敬される方もおられます。

 「私の作品を無断でしようするのはやめてくれ。とても気分が悪い。」自分の器の小ささを感じながらもやりきれない思いが消える事がありませんでした。そして今度は自己弁護を考えます。「お坊さんは人前で説法をしなくてはいけない、人真似の話は言葉に魂がこもらない。説法の相手はロボットではないのだから見透かされてしまう。従ってやめたほうがいい」と。 これはある意味真実なのですが、私の場合は自分の作品を真似されたくないために使っていた言葉だと思います。

 そんな私に家内がこう語りかけます。「あなたはお寺を責める立場ではなく、守る立場にあるのだからそんなことをいってはいけない。盗作されてもなんでも他のお寺の発展を願い、喜びなさいと」私に優しく諭す家内は輝いて見えます。これが多宝如来という仏さまです。

 

 

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