縁のお話し

住職のおはなし

ある日、お釈迦様はいつものように巧みな例え話で弟子たちに教えます。  

「主人が3階建ての家を造れと棟梁に命じる。棟梁はまず土台を固め1階、2階と工程を進めようとした。すると主人は『1階も2階もいらん、早く3階の私の寝室を造れ!』と怒鳴ったという。そなたらはこの主人のことをどう思うか?」  

これはお釈迦様の説法の中でも比較的優しい例え話です。「3階は4階がなくても成り立つが、2階以下土台がなかったら3階は成立しない」という物事を順序を説いたお話です。  

そしてもう一つは「土台となる2階以下に対する感謝」をも示しています。「恩とは何がなされ、原因は何であるかを心で考える」こと。ここで恩という字が「因」と「心」から成り立っていることに気付かされます。原因を知る心、つまりそれが「恩」です。

 1階があってこそ2階がある。そして目に見えない力の働きや因果の働きがあって今日の果実があることを知ろうとすることがお釈迦様の説かれる「恩」です。 一妙寺もお参りしてくだる信徒さま、仏事の依頼をしてくださる施主さま方によって支えられておりますが、このお釈迦様の説法に照らし合わせますと「目に見えない力の働き」を信じなければなりません。

知らない土地に赴き、布教活動を行い、日蓮宗のお寺を建立するなど自分一人の力では絶対にできません。 ところが一妙寺はパズルのピースが一つになるように御本尊様、信徒さん、設計士さん、大工さん、スペシャルな方々がお集まりくださりあっという間にお寺を作ってくださいました。前世で私はよほど徳を積んだのでしょうか、ゼロから初めて約4年でできてしまいました。それも活動内容や寺院外観に高い評価をいただく俯仰天地に恥じないお寺でございます。

「前世で徳を積んだから今日の結果がある」と申しましたが、付け足すとおそらく今日一妙寺へお参りしてくださる方、お葬式や御法事をきっかけに一妙寺とご縁を結ばせていただいた方はきっと、前世、前前世でも一妙寺(法華経)とお付き合いがあったのだと思います。 そうでなければ身延山から御本尊さまをお迎えしたこと、初対面の方からお布施をお包みいただくこと、私と一緒に御本尊さまへお経をあげてくださるご信徒さまが集まってくださることはありません。(特に日蓮宗は修行が厳しく怖いと思われてますから)

前世、前前世から繋がる長いお付き合いのある方ばかりに囲まれて私は本当に幸せ者なのであります。

 

 

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