開教偈のお話し(5)

住職のおはなし

  「見聞触知皆菩提に近づく」

見聞触知とは見たり聞いたり触れたりすることで知るという意味です。法華経の真理は日常生活の中で見たり聞いたり触れたり体験する中で学んでいきなさいということです。

自分は仏の子である、自分の中に仏の子としての性質や能力があるというのは一体どういうことなのか、その真理を求めて日常の生活を大切に生きなさいということです。

私たちが仏の子である性質を有している証拠はたくさんあります。第一に他人には嘘はつけても自分には嘘はつけません。第二に愛する対象がなければ生きてゆけません。第三に世の中無償の愛に勝つものはありません。 仏の子としての性質を日常の中であらわしていくことは決して容易ではありません。

己の心を支配する我欲、エゴに打ち克たなければなりません。信仰とは我欲、エゴとの闘いです。 菩提とは悟るということ、己の我欲、エゴを犠牲にして困っている人のために善行を施すことです。善行は他者だけでなく己の心も救います。人に対する無償の愛の行為以外に魂をレベルアップさせるものはありません。私たちが謙虚な人、控えめな人を好きになる理由はここにあります。

そのことを日常の中で悟って、実行していけば悟りの世界に入ることができます。 多くのことを知り、多くのことを学んでも善行を施さなければ何も学ばなかったに等しいといえるでしょう。

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