おにぎりのお話

住職のおはなし

6月18日は「おにぎりの日」。日本最古のおにぎりの化石が発見された石川県旧鹿西町(ろくせいまち)の「ろく」と米の漢字が「十」と「八」に分解できることから決まったようです。 この日にちなんで、今月はおにぎりのお話を。

愛情や真心が詰まったおにぎり━。世界の料理が食卓を彩る現代ですが、母親の握ってくれたおにぎりが一番という方は少なくないでしょう。理由は至ってシンプルです。「お母さんは手が違うから」。 母が握ってくれたおにぎりの微妙な塩加減と握り具合は幼少期より自分に刷り込まれた愛情です、これはコンビニのおにぎりでは太刀打ちできない聖域ですね。

神の力を授かるために米を山型にかたどって作ったのが「おむすび」です。中には鮭や梅干しなどの福が入ってます。「福を得るには山へ行け」の教えです。昔話でおじいさんは山に行きました、柴刈りによって自宅で煮炊きや暖をとることができるようになり、家中が温かくなりました。仏教でも火を使う祈祷は、福を得るという位置づけです。

自分の身体に潜む、悪き鬼を払うために握ったのが「おにぎり」です。中に具材を入れず手に塩を振って握るのは衛生面での工夫だけでなく、鬼との縁を切るためのお清めの塩という意味が込められています。「鬼を払うには川に行け」の教えです。昔話でおばあさんは川に行きました、川の流れによって衣類についた汚れだけでなく、口にできない思いまで水に流せました。仏教でも水を使う祈祷は、鬼を払うという位置づけです。

おむすび=お結び=良い縁を結ぶ。おにぎり=鬼切り=禍を退ける。 ということですが、今は名称や握り方に明確な違いはありません。あまり難しいこといわないで美味しくいただきましょう。

山のものと海のものが重なりあることで生まれるおにぎりはソウルフードです。握る人から食べる人へ、おにぎりは今日も私たちをほっこりさせてくれます

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