初の新寺「一妙寺」建立

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 日蓮宗が創設した国内開教制度で4年前に宗門として初の国内開教師に就任した赤澤貞槙師が東京都国立市で「一妙寺」を建立。その落慶式が11月3日、信徒約50人ともに厳かに営まれた。日蓮宗では教線拡張のため、平成22年9月に国内開教制度を創設、赤澤師が初の国内開教師に就任し国立市にある賃貸住宅を布教所として布教を開始。順調に信徒を増やし、2年前に結社に昇格した。  

信徒の増加で手狭になったことや、賃貸のため様々な制約があったことから、信徒ともに新寺建立を発願。宗門の布教拠点確保援助制度を利用することにより金融機関から融資を受け、昨年8月に着工した。落慶した「一妙寺」は白を基調とした外観。敷地は60坪で1階に本堂がある3階建て。街道に面しており、看板には「小さなお寺 一妙寺」と書かれている。今年3月に外構以外の建物部分が完成した。  

 落慶法要で赤澤師は、これまでの軌跡を振り返り「何もない所からのスタートでした。あるのは私のお寺を作りたいという志と五体満足の健康な身体だけでした。」と檀信徒ゼロ、段ボールで作った祭壇から始まった布教の歩みを回顧。順調に見えるこの4年間も「日蓮宗のお寺のないこの地域で、一生懸命布教活動して、この地に日蓮宗のお寺を建てるんだ」という気持ちで赴任してきたが、ふたを開けてみると「日蓮宗を信仰する人と縁を結ぶどころか、電話が鳴らない日が続き、近所の方には煙たがられ、心が折れそうになることもあった」という。  

 赤澤師を助けたのは宗門教師の励ましと、信徒の「こんなお寺があってもいいんじゃないでしょうか。私たちはお上人の法を求める姿勢に礼拝します。五重塔や立派な伽藍がなくても、法を学ぶことはできます」という温かい言葉だった。「お寺の心臓は、ご本尊に対する信徒の皆さまの敬虔な思いです」と感謝を述べる赤澤師に、信徒も目頭を熱くしていた。

 今後の抱負を尋ねると「例えるなら、会社が大きくなれば、維持するのに30分早く出社するなど前より頑張る必要があるでしょう。私もこれまで以上に、もっとたくさんお経を唱えていきたいと思う」と語り、さらなる精進を誓っていた。

【記事紹介】仏教タイムス2014年11月号掲載

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