お寺の経理 2019.07.01 住職のおはなし 今回は私達が普段なかなか触れる事のない「お寺の経理」についてお話したいと思います。 寺院経理をぬかりなく勤めることも住職の大切な仕事です。なぜなら住職は宗教法人の代表役員ですから。一妙寺の収入は主にお葬式や御法事の際に皆さまからお包みいただくお布施が収入となります。 助産師さんがほぼ毎日赤ちゃんを取り上げるように、私達も度々お葬式のご依頼を頂いております。「坊主丸儲け」と思われがちですが、そんなことはありません。一か月のうちに何件仏事をお勤めしようとも住職の収入は変わりません。なぜなら私達も月給制ですから。宗教法人の職員として毎月定額の俸給を頂いており所得税も納めさせて頂きます。お寺に勤めるサラリーマンですから、テラリーマンというところでしょうか。 お寺の財産である土地や建物は宗教法人名義となります。個人で取得した土地、建物であってもお寺として使用するならば法人に寄付をしなければなりません。私、赤澤もそのようにさせて頂きました。宗教活動収入が非課税である代わりに私が死亡しても妻や子が土地、建物を相続せず後任への継承が潤滑に行われる構成になっております。 その他に関しましては株式会社や個人事業主と変わりません。支出の記録となる領収証の保存、現金出納帳や貸借対照表の作成も必須となります。当然、源泉徴収事務や正しい納税が大切なのですが宗教性が時として領収証の発行を困難にさせている場合があります。 例えば他のお坊さんへ一妙寺の法務を依頼した場合、その寺院さまへお礼としてお布施をさせていただくのですが受取の記録をいただくことがありません。支払者としては支出の証明となる領収証がほしいのですが、宗教性がそれを困難にさせているのです。 自分の娘が嫁入りの際、お相手の男性が結納金をくれたとします。「お義父さん、申し訳ないけど結納金の領収証くれませんか?」といわれたら嫌な気持ちになるのと同じです。ときに10万円を超える金額のやり取りがあるのに受取証の未発行が問題となっています。 そうした背景もあり近年、寺院社会では領収証を発行することが増えて参りました。一妙寺でもお包みいただいたお布施全てに領収証を発行しておりますので、ご希望の方はお申し出くださいませ。 住職のおはなし 第110回お経と法話の会 身延山感井坊参拝 第111回お経と法話の会 お施餓鬼法要 ピックアップ記事 住職のおはなし 住職の叫び 2021.02.01住職のおはなし