ラインで寺報を送る住職

メディア掲載

 ラインが情報共有や発信に向くなら、災害時に限らず、布教や伝道、檀信徒との連絡手段にも使えるのではないか。ここからは布教に活用している事例を見る。ラインを使って檀家と連絡を取っているのが、東京都国立市にある日蓮宗一妙寺の赤澤貞槙住職(35歳)だ。首都圏開教のためわずか4年で寺院を新設した住職として、本誌2月号でも紹介した。

 赤澤住職は、ラインを使ってPDF化した寺報を送っている。というのも、寺報の発送方法について檀家にアンケートを取ったところ、紙の郵送ではなく電子メールでほしいという声が挙がったからだ。その中に「ラインで送ってほしい」という声もあった。ラインでの情報発信を希望する人は、30代から50代の女性に多いという。年配の檀信徒は紙刷りの寺報を求める人が多いため、赤澤住職は寺報を郵送、電子メール、ラインと分けて発送している。ラインを使用するメリットはあるのか。「スマホ利用者の多くがラインを使用しているため、いつでも簡単に連絡できる点はいい。寺報は通勤時間やトイレなど”すき間”時間を使って読んでもらえます」と赤澤住職。ラインで葬式や法事の依頼を受けるケースもでてきたという。

ただし、住職と個別に気軽に連絡が取れるからか、仕事や恋愛などプライベートな相談が寄せられやすい面もあるという。だが、「寺院を開設したばかりですし、檀家とコミュニケーションを取れるツールとしては使いやすい」と赤澤住職。新たな檀家を取り込もうという気概ある住職ならではの取り組みかもしれない。

【記事紹介】月刊住職2016年9月号掲載

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