トロッコ問題のお話

住職のおはなし

みなさまは「トロッコ問題」という言葉をご存知でしょうか。

トロッコ問題とは、暴走する列車が迫るポイントを前にどちらに進むように切り替えるのが正解か、「5人を救うために1人を犠牲にしてもいいか?」という難問です。ある人を助けるために、他の人を犠牲にするのは許されるのでしょうか。時代や国がかわってもこういう問題はいつも色褪せることなく、神仏は私たち人類に問い続けます。

問題に対して2つの選択肢が存在し、そのどちらを選んでも何らかの不利益がある。どちらにするべきか決めかねてしまう、心の葛藤と申しましょうか。長い人生、誰もがそんな経験が一度や二度おありなのではないでしょうか。

そんな「トロッコ問題」ですが、私は先日この問題に対して大変ユニークな解答に巡り合うことができました。他に類のみない独自な解答・・・それは「列車の前輪がポイントを越えた直後に切り替える」というものでした。するとどうでしょう。列車の後輪はもう1つのレールへすすみ結果車両はきれいに横向きで止まることができるのです。そして、犠牲者はうまれません。

倫理の問題に技術で答えを出したに解答者に私は笑ってしまいました。二者択一の問題に対して第三の答えを出す。きっと仕事の醍醐味とはこういうところに潜んでいるのでしょう。

しかし、なかには話が脱線していると思われる方もいらっしゃるかもしれません。これについて「そういう話じゃないんだけどなあ・・・」になるのか、「新しい発想。こういうの待ってた!」になるのか。論議が交わされるところですが、エネルギッシュに創造を働かせ、創作をしていくことは組織に新しい風を吹かせるものです。そういう意味では私も住職として、お寺のなかに新しい風を吹き込まなければなりません。まったく何もない状態から、新しいものを創り上げることも大切ですし、すでに創り出されているものの中に含まれつつある新しいうごきに注目し、時には新しい観点から、これまでの秩序を組み替え、再構成することも創造です。

そんなことを考えながら、一妙寺のロゴを作成してみました。今月もエネルギッシュに活動していきたいと思います。

一妙寺住職 赤澤貞槙 拝

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