お内仏のお話

住職のおはなし

前回の投稿(令和3年10月)で私は「お内仏(ないぶつ)」をとても大切にしているという話を書かせていただきました。今回はその続きとなります。
※お内仏とは住職の先祖を祀るお仏壇のこと

 一妙寺のお内仏をひもといてみましょう、上から順に説明しますとまず「立正安国」と日蓮聖人の筆で書かれた扁額が掲げられております。そして荒行の

「成満旗」によってつくられた背景正面には祈祷本尊が造立されます。「須弥壇」を眺めますと正面には住職生母のお位牌が祀られ、左手には「帝釈天掛軸」、そして前面には「七面紋経机」を設置。

 更に視界を落とすと畳の上に「い草」で作られた円座が敷かれ、その様相はかなり思い入れの強いものとなっております。

 それもそのはず、なぜなら私は「住職」だからです。例えば美容師さんが自分の頭髪を気にするように、眼鏡店で働く方が自分のメガネに心を配るように、お坊さんも自分のお仏壇にこだわりをもちます。

 知らない街に赴き、多くの方に助けていただきながら小さなお寺をつくることができました。それが私の全てです。このお内仏はそんな私のストーリーをあらわします。

 「昔、仏具を寄進したけど最近見ないなあ、倉庫に眠っているのかな?」そうならないように、以前、国立布教所時代に御奉納いただいた仏具は現在お内仏の祭壇としてその役割を果たして頂いているのでした。

 一妙寺は毎朝、本堂にてお勤めをしておりますが、朝勤後はお内仏でのお経になります。本堂での祈りが未来への希望ならば、お内仏での祈りは原点回帰、過去への感謝です。多くの方に支えらていることを実感する大切な空間であり、己の心に向き合うこの場所にて毎朝気合を入れ、一日の職務をスタートさせます。

一妙寺住職 拝

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