牡丹餅のお供え

「ぼたもち」という言葉には柔らかく包み込むような趣がある。蒸した米の弾力はもちろんであるが、来客のもてなしや田植えの後の寄合い、子供のおやつといった手の届く庶民感覚がそうさせるのであろう。あまたある和菓子の中でその地位は揺るぎない。

そして私たち日蓮宗にとってもこの「ぼたもち」とは縁が深い。

それは龍ノ口に連行される日蓮聖人へ「桟敷の尼」が鍋ぶたにのせた黒胡麻の「ぼたもち」を供養したという故事に由来する。

龍ノ口での難を逃れた日蓮聖人に習い、「難除けのぼたもち」として鎌倉を中心に信仰が生まれた。爾来、日蓮宗のお寺では住職の唱えるお題目に合わせて信徒が餅をつき「ぼたもち」を、日蓮聖人の御前に供えることを風習とした。籠にのせた牡丹餅が本堂へ運び込まれる様子を是非みなさまにご覧いただきたい。

かくいう一妙寺も「ぼたもち」をつくり、日蓮聖人へお供えし、春のお彼岸法要を執り行った。「難除け」とまではいかないが、妻が早朝より一人で作ってくれた渾身の一品である。

多くの方にご参列をいただき、お布施やお野菜、果物、お菓子などをお供えいただき、この一妙寺へ眠る方々、ご参列のみなさまに縁あるすべての精霊へ春のお彼岸供養を無事に法要をお勤めできたことに、住職として心から感謝し たい。

2015年04月01日