遠寿院の荒行堂

根菜の季節である。七草で有名なスズナ、スズシロはダイコン、カブをさし、サトイモ、レンコンなどは和洋中どんな味付けでも美味しい。旬に対する礼儀のように毎年豪快にいただくが、寒さに耐えたものには凛とした強さが宿る。
 
 1月20日、信徒の皆さまと荒行堂へ参拝した。真冬の100日間、極寒の中冷たい水に身体をさらし、修行に励む僧侶を見舞ったが、参列者の皆さまはどんな感想をお持ちであろうか。

 一妙寺参拝団を乗せたバスは7時半に国立駅を出立した。饒舌なガイドさんによる楽しいおしゃべりに車内が和む。外へ出ると一週間前に降り積もった雪はほとんど消えていた。風は冷たかったが、この程度の寒さで嘆いていては荒行僧に申し訳ない。ふと気づけば、今日から大寒である。二十四節気の中で最も寒く、吐く息はいよいよ白い。ということは100日の修行もいよいよラストスパートであろうか。

陽光な優しい冬晴れに恵まれた日常の世界と、自我を封じられた冷たい規律の中に生きる荒行の世界、「瑞門」と呼ばれる結界を境に背中をあわせている。たとえば住所でいえば同じお寺の敷地内である、しかしそのわずかな距離で日々の暮らしも、雪を見る目も一変する。

記憶をひもといてみると、荒行中は童心に帰っていたような気がする。純粋無垢ほど五感に沁みるものはないだろう。成長は前に伸びるだけでなく、後ろを省みることも必要ということであろう。

2013年02月01日