結社への昇格

5月21日、列島各地は世紀の天体ショー「金環日食」の感動に包まれました。太陽と月が一直線上に重なり、輪となって神々しく光ったその奇怪な現象は皆さまの記憶にも新しいところだと思います。

 翌日は、東京下町に世界一の電波塔「スカイツリー」が開業致しました。震災にも耐え、すっと空へ伸びていったその様は高さが634メートルへ届き、総身が日本の最新技術の結晶だとききます。江戸にふさわしい「粋な職方の底力」は私共の心にじんときます。

 古代の人々は日食の解明に奮闘されたようで、オオカミが太陽を追いかけ、飲み込んでしまっただとか、太陽と月が喧嘩しているなど、お国ごとの神話が見受けられます。お隣の朝鮮半島では国を治める国主を狙った妃が、天文の知識を乱用し、民の崇拝を得ていた歴史もありますが、いつの時代も容易に計り知れなかった全容を解明し、学会から認証を受け、新しい風を吹かせた感動はひとしおでしょう。

 スカイツリーの心臓部である「心柱(しんばしら)」と呼ばれる柱は、仏教の五重塔の知恵を生かしています。先人達より継がれてきた、伝統技術は本国の宝でありましょう。幾度もの難題に直面しながら、耐震性の高い構造を生み出したプロの仕事師の背中に、後進の者は励まされます。

 時を同じくして、一妙寺は此の度日蓮宗の包括認証を受けることができました。ここに皆さまへ御報告申し上げます。
 
 1年半前、宗門初の国内開教師を拝命し、一妙寺を設立しましたが、前途多難、行く手には多くの壁が立ちはだかるスタートでした。それもそのはずです、今まで未開拓の地に赴き、ゼロから立ち上げたお寺などありません。失敗し多額の負債が残れば、修行や布教どころではなく、議員からは危惧する声もあがり、まずはじめに、私に課せられた使命は「認証を受け、宗内に新しい風を吹かせ、後進の者を励ます」という心柱の建立でした。

 「賃貸でも何でも、そんなお寺があってもいいじゃないですか。」

 皆様からの温かいお言葉を励みに活動を続け、ようやく日蓮宗寺院としての認証を受けることができました。それまでは歴史のない賃貸物件の借家がお寺として承認されるなど、まったく例のないことであり、宗務院関係者、世話人を快く引き受けてくださった信徒さんのご尽力のお陰で実現できました。心より感謝いたします。
 
今後は日蓮宗の定める寺院の種類にて「布教所」から「結社」へと格上げされ、活動も日蓮宗の保護を受けることができます。
 世紀の天体ショーと、江戸の下町に建立された希望のツリーと共に、今後も檀家制度に頼らない強いお寺を歩みたいと思っています。

2012年05月15日