元政上人のお話

「松たてず しめかざりせず 餅つかず かかる家にも 春は来にけり」

元政法師は江戸時代の日蓮宗の学僧で、晩年に京都深草に隠棲したので「深草元政上人」とも呼ばれます。
上記の一首の意味は易しく、つまりこういうことです。

「門松もたてない、しめかざりもしない、餅もつかないから鏡餅も供えない。お正月を迎える装いは何一つしない我が家ですけど、こんな我が家にも新しい春が訪れてくれたよ」

お正月のお飾りをする、しないは人々の自由です。しかし世の中の景気のいい悪いに関係なしに、普段のままに「春は来にけり」と大きくうなずける心の仕度、心を起こせるかどうかが大切です。

元政上人は戒律を重んじ、自我にとらわれることを強く戒めました。自我にとらわれさえしなければ、自然と大らかな心の働きが機能するようになる、と元政上人は示唆されるのです。
お正月の飾りは家の内外にするのではなく、自分の心の中にこそ、厳かに飾り装いをするべきである―ということでしょう。

心に深く信じるものを持ち、人生を生き抜く誓願を確立するのが真実の飾りでしょう。

2011年12月01日