仏教の神頼み

日本人になじみのある宗教といえば仏教だが、「神頼み」の作法などはあるのか。日蓮宗僧侶の赤澤氏に聞いた。

 

仏教では病気治しや商売繫盛のお願いをする時は、どうすればいいのでしょうか。

赤澤氏(以下、赤) 仏教には「供養」の考え方があります。病気を治したい場合、「この方の体を蝕むものが退散しますように」と供養してから「病気が治りますように」と祈ります。「鬼は外、福は内」の考え方ですね。

 

与えられているものに気付く

 ただ、残念ながら願いが叶えられないこともあります。私たちは「この世」の物質世界で、あれもこれも欲しくなる「満たされない病」にかかっていますが本当は満たされないことが尊いのです。

 

それはどういうことでしょうか。普通は願いが叶ったらうれしいものですが。

 人間は天と地の間に生かされている存在です。天からの力と地からの力を50%ずつ頂ける真ん中の位置で生きることが一番いいのです。すべてを満たそうとすると、だんだん物質世界寄りになってきます。「本当は豊か」だと実感していただくのが宗教の役割であると思っていますし、それに気づく方法のひとつがお布施です。

 

お布施とは、具体的にどういうことでしょうか。

 お布施というのは、慈しむ心をもって、自分のものを他人に分けてあげることです。

相撲でいえば「7勝7敗1分けの生き方」です。自分が1つ白星をもらったら、他の人に1つ白星を与えるんです。 例えば10人の部下を持つ経営者がいたとして、そのうち2人が怠けているとします。全勝を目指す生き方をすると、この2人をリストラしたくなります。ところがこの2人は、社長の知らないところで他の人が嫌がる仕事をしていた、ということもあるわけです。時間が経つと「欲しいものはすでに与えられていた」と気付くのです。

 

気付くことが尊いんですね。

 願い事は「こちらの世界」の都合です。魂の世界、お彼岸の世界である「あちらの世界」の都合もあるわけです。子宝を授かりますようにというお願いであれば、私たちができるのはこの世の努力までです。肉体に魂が宿るかどうかは「あちらの世界」にある神仏の働きの部分ですから。

願い事をする時には、あちらの世界からもたらされる恩恵に気付き、大事にすることです。

 

魂のレベルをあげる

 

「あちらの世界」からもっと力をいただくためには、どうしたらいいでしょうか。

 魂のレベルが高くなると、あちらの世界から発信される神仏の力を受ける能力が高まります。この世では希望した学校や職場に入れば成功者だと考えますが、仏教の求める成功者は「魂のレベルを上げている人」です。怒らない癖をつけるだけで、魂のレベルアップができます。

 

赤澤住職がどんな思いで仏様に祈っているのですか。

 日蓮宗の本尊は「久遠の仏様」です。久遠というのは私たちが生まれる前の前世、前前世から未来永劫までの計り知れない時間のことです。

そして人間の心、魂の中にも久遠の仏の性質が備わっています。魂はこちらの世界にやってきて肉体に宿ります。仏教では魂が輪廻転生していて、この世界の肉体に魂が宿ると教えています。ですから私は「あちらの世界の仏様」と「自分の中の仏様」がひとつになる感覚で祈っています。

ただ、それを証明することはできません。人間は縦、横、高さまでしか認識できないので。だから宗教は「理解しなさい」でなく「信じなさい」なのです。

 

掲載誌 The Liberty2018.1月号 幸福の科学出版

 

 

 

2018年02月01日