寺院への道のり

 

■国内開教師応募までの略歴を教えてください。
「私は普通のサラリーマン家庭に生まれましたが、身延山高校を出た後、日暮里の善性寺で随身(僧道修行)をしながら立正大学に通いました。そして卒業後は赤羽の法真寺、目黒の立源寺で山務し、その間、日蓮宗加行所に行きました。私が今、こうしていられるのも、こういった日蓮宗での素晴らしい僧風教育を受けたからです。」

■国内開教師に決まったときの気持ちは?
「ゼロからのスタートは大変だったのではと思われるのですが、10の段階があるとすれば開教師の辞令をいただくまでに、8の準備までは整えていたので、あとの2の行動をするだけと、逆に布教させてもらえる喜びで体が震えました」

■実際うまくいきましたか?
「うまくいきませんでした(笑)布教の相手は国立で歩いている人全員だと意気込んでいた分、すごく落ち込みました。しかし、そういったなか三多摩地区の組寺の方に助けていただきました」

■転機は?
「世の中の全員を救うんだという気持ちではなく仏教の基本に立ち返り、その時、その時に出会った人たちに寄り添おうと考えました。葬儀をしても、法事をしても、このお坊さんに頼んでよかった、お葬式をしてよかった、仏教ってすごい、と思っていただけるように手間暇をかけた仏事を心掛けました。目に見えないものを大事にすることが宗教だと思います。合理を優先して何かを省略すれば、こういった感動はしていただけないと思います。」

■ほかに伝えていることは?
「故人を送る引導文や法話をわかりやすく伝えていることでしょうか。例えば、仏教徒は魂のレベルアップも大事で、相撲に例えると15勝全勝ではなく、7勝7敗1分けでなければならないという話をします。いい学校、いい会社という勝ち組といわれる15勝の生き方は、どこかで合理的にならなければなりません。そうではなく、合理的ではなく相手に合わせて自ら黒星をつけてもいいという生き方が優しさなのだと思います。無宗教だと言う人が多いですが、本当は誰もが宗教心を持っています。こういった生き方を伝えることで、信仰心が花開くのだと思います。」

 

【記事紹介】日蓮宗新聞2017年4月号掲載

2017年06月01日